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檸檬俳句へ
~Every Day Hot Go Sit Go~ 河合橘風
昼寝する帽子に止まる糸トンボ | 畑の木陰で麦わら帽子を日よけに昼寝をしていると 糸トンボが止まっているのが藁の隙間から見える |
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カマキリの抜け殻揺れて友想う | 仲の良かった友が旅立って20年、 カマキリの抜け殻をみると想い出す。 |
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オトシブミあなたへの愛何綴る | オトシブミが落とす葉っぱは様々な形をしていて 道ばたにわざと落とした手紙ににている。 あの娘が拾う手紙には何が書いてあるのだろう。 |
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三枚の羽で飛びゆくアゲハ蝶 | 後ろの羽が一枚欠損しているアゲハ蝶が ふらふらと飛んでいく。 片羽で帰還した零戦が頭によぎった。 |
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赤蜻蛉台風一過乱舞する | 自然を生業とするものにとっては来てほしくない台風。 いつも被害にがっかりするが、台風一過のすがすがしい空気 と赤蜻蛉の群れを見ると一瞬ではあるが心が晴れやかになる |
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ウインカー源氏蛍の恋の邪魔 | 源氏蛍を見に田んぼに。 駐車した車のウインカーにいっせいに 源氏蛍が寄ってくる。 |
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水上の忍者水黽憧れる | ||
蓑虫はリサイクルした家に住み | ||
天鼠飛ぶマジックアワーのシルエット | ||
顔写すセンチコガネの胴覗く | 食べるものは糞なのだけれど、 まるで何度も研磨したような美しさの胴部分は 接写するカメラが写りそうな輝きを持つ。 ただ一言、自然の芸術である。 英名:Earth-boring dung beetle |
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一文字四つ星並ぶセセリチョウ | 檸檬の秋花が咲くと元気よくやってくる。 申し訳ないが秋花は作業で摘んでしまう。 羽の裏側の整然と一直線に並んだ 白い模様が星に見える。 |
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青眼の青松虫がおもてなし | 露地のみかんの摘果中や収穫中に遭遇する。 普段は鳴き声だけで、青い眼だと言うことも気づかない。 青眼とは喜んで迎える目つきのこと。 フランス人形のような眼に、おもてなしされてしまう。 |
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電灯を持つ手にあそぶ蜉蝣や | ||
朝昼で鳴く蝉変わる普門寺や | ||
抜け殻に蝉の鳴き声染渡る | ||
季節はずれレモンの花にチョウ嬉し | ||
夜盗虫月夜に照らされ闊歩する | ||
秋風につくつく法師声優る | ||
凛とした黒い涙のツチイナゴ | 無農薬レモネーディアの温室の中で世代交代をしている。 眼の下の黒い模様が涙に見える。 しかし泣いている様子ではなく、触覚などは凛としている。 トノサマバッタとの見分けにも応用できる。 |
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妖精かクサカゲロウの飛ぶ姿 | ||
クサカゲロウティンカーベルについ重ね | ||
ハサミムシ子育て上手子沢山 | ||
勝ち虫の群影写る水面かな | ||
柚子坊は以外や檸檬これ好み | 無農薬レモン栽培でアゲハチョウの幼虫がレモンの新芽を むしゃむしゃと食べてしまい困らされる。 柚子坊と言われるが柚子よりレモンの方が 格段に好みのようである。 |
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一直線尺取り虫はお昼寝中 | そんなに多くはないが柑橘類の葉をむしゃむしゃと食べる。 見つけると手で取って踏んでで殺すのだけれど、 触った感覚は人肌という感じ。 お昼寝中は忍法枝化けの術のようだ。 |
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髪切り虫きーきーと鳴く子供かな | ||
掛け合わせてんとう虫の星の数 | ||
静かなり夫婦逆転唖蝉や | ||
でき悪し我空蝉になりにけり | ||
実を落とす蚊の音邪魔し遅れけり | ||
ボウフラといっしょに住ませる金魚かな | ||
黄金虫溺れる姿我重ね | 暑さ厳しくなるとくみ置きした水の中で黄金虫が溺れている。 必死でもがくのだが泳ぎは苦手で、脱出できない。 まるで自分の姿のようでつい手をさしのべる。 |
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蒸し暑さ羽黒蜻蛉が涼誘う | 初夏蒸し暑い日に木々の陰でひらひらと優雅に舞う。 捕まえて見るとその構造色の美しさに惹かれる。 涼しげに感じるのは私だけだろうか。 つい追いかけたくなる気持ちにさせられる。 英名:Ebony Jewelwing |
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ダンゴムシ嫌われ者の掃除かな | ||
カブトムシ端午の節句は間に合わず | ||
オニヤンマ道路を往復一直線 | 夏水やりをしていると道路上を一直線に往復して飛ぶ。 太陽の光に羽がきらきらと光り、 飛ぶ姿はとても勇壮に見える。 1年に何度も見る事ができないので 新鮮な気持ちにさせられる。 英名:Golden-ringed Dragonfly |
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病葉を摘む手悔しいハマキムシ | ||
ジョロウグモ手招き優し宿場町 | 秋の女王と言われる女郎蜘蛛は澄んだ初冬の青い空を背景に 凛とした美しさを見せてくれる。 迫り来る短い命を知り全うする姿は 古き時代の宿場の賑わいの陰の哀愁にも感じる。 |
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カマキリの首かしげし仕草かな | ||
カマキリや顔を洗いし朝寝坊 | ||
アキアカネふるさと遠し黄金色 | ||
ハサミムシ内弁慶か夜行性 | ||
蛇の目蝶温室の中雨しのぐ | ||
タテハチョウ梨園で踊る梨の露 | ||
ハモグリガ嫌われ者の絵が上手い | 通称エカキムシと呼ばれるミカンハモグリガ。 こいつだけはなかなか防ぐことができない。 無農薬レモン栽培ではこいつに葉をぐにゃぐにゃにされる。 儂人泣かせの1番手である。 |
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キリギリス飛び立つ姿果報者 | ||
強き風諸戸もせずに飛ぶイナゴ | ||
足持ちてショウリョウバッタで我あそぶ | ショウリョウバッタの足をもつと逃げようともがく。 その様子がゆりかごのようでおもしろい。 子供の頃の遊びを思い出し、しばし少年時代に。 |
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優曇華を見つけて吉兆クサカゲロウ | クサカゲロウの卵も縁起の良いとされるもの。 古来からこの卵を優曇華という花と 間違えてきたところがおもしろい。 アブラムシが大発生しないようにと大事に思う。 |
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蟻地獄助けしアリは我が身なり | ||
赤蜻蛉唐辛子見て首かしげ | ||
ベニシジミ溶け込む紅に目奪われ | ||
吉兆虫豪華絢爛法隆寺 | 吉兆虫と呼ばれる玉虫はいつみても美しい。 子供の頃玉虫の羽が法隆寺の宝物に使われている 事を学んだ。 運気が上昇する前兆だと自分に言い聞かせ 作業に汗を流す。 英名:Juwel Beetle |
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頭たれコメツキあそぶ子供かな | ||
腰くびれアシナガバチのフラダンス | 農作業中一番出会うのがアシナガバチ。 怖いムシだが、じっと見るとくびれた腰のラインが美しい。 おしりを振る仕草から、フラダンスを想像してしまう。 こんな感性はいったい・・・。 |
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赤蜻蛉芭蕉の句に苦笑い | ||
羽休め待針二つ糸蜻蛉 | ||
大きさに空城の計ガガンボや | ||
またはずれマクナギニ学べ空予報 | 雨の前に見る事ができるマクナギ。 下手な天気予報よりよくあたる。 毎日の天気を気にする生業のため、 天気予報より虫の習性で判断することもある。 |
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雨蛙迷彩服にいつ着替え | 環境に配慮して栽培していると雨蛙が温室の中に たくさん見る事ができるようになる。 時々、保護色なのか迷彩模様の雨蛙に出くわす。 ソルジャーなのか?不思議に思う。 |
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雨蛙檸檬の葉の上じっと待つ | 雨蛙は温室の中ではなぜか吞気にしている。 この中は外敵が少ないことを知っているのだろうか? じっとしていてくれるので、写真を撮るのには好都合だ。 |
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籾殻の中でお昼寝瑠璃蜥蜴 | ||
放屁虫草取る我が手つい先に | 汗が額からしたたる夏、 温室の隅の草を取っているとミイデラゴミムシに出くわす。 和名のとおり、びっくりさせるとおしりから100度のガスを噴射。 やけどをしないように反射的に手を引っ込める。 |
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団子虫悪のレッテルかわいそう | 河合果樹園の無農薬技術は団子虫のおかげで成り立つ。 家庭の奥様方には嫌われ者なのがかわいそうである。 ホームセンターでは団子虫用の家庭で使う農薬が売られている。 正義の味方も時の誤解でで悪者にされてしまう。 |
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団子虫葉脈残す芸術品 | 有機物を分解する団子虫。 無農薬レモンの温室の中で落ち葉を葉脈だけを残す。 芸術品に思える。 |
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打ち水にアオスジアゲハ涼求め | 猛暑の中、打ち水をしているとどこからともなくやってくる。 ヤブガラシにいるのは知っているけれど、どうしてだろう。 やはり水をストローで口に含んで涼を楽しんでいるのだろう。 |
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逆さまに祈り太郎は獲物待つ | 蟷螂が逆さまにとまって獲物を待つ時、 大鎌は合わさり、まるで手を合わせて祈っているようだ 。 誰が名付けたのか祈り太郎とはよく言ったものだ。 撮影する時は必ずこちらを向いてくれるいい子だ。 |
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夜盗虫二十度感じ昼の部へ | 夜盗虫はその名の通り、夜活動する。 無農薬で作っている初恋リーフの大害虫だ。 ところが20度以下の気温になると、日中もはを食べ出す。 活動温度ごとに害虫を分類するとおもしろい。 |
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憎らしきアゲハを打つ手転写され | 無農薬レモンの葉を食べてしまうアゲハチョウの幼虫。 見つけたら人力で捕殺するしかない。 素手でとんでいるにっくきアゲハチョウを柏手に打つ。 アゲハチョウの羽の鱗粉が手にきれいに残る。 芸術には殺生が伴うものなのか? |
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背に纏うクサカゲロウの食歴よ | クサカゲロウはアブラムシだけでなく イセリアカイガラムシも食べてくれる。 食べた虫のカスを背に纏いカイガラムシと共生関係にある 外敵から身を守っている。 一体誰に教わるのか、このDNAはすごい。 |
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コクワガタハウスミカンの味覚え | コクワガタは普通はみかんなど食べないと思っていたら・・・。 ハウスミカンの美味しさは共通なのか? ただ優先順位からするとやはりみかんは コクワガタにとっては下の方だろう。 |
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蟷螂の威嚇姿に犬が吠え | 蟷螂は危険を感じるとキングギドラ並みのポーズを取る 。 我が家の愛犬は蟷螂におびえて吠えてしまった。 大きさに関係なく向かってくる。 このポーズから「蟷螂の斧」という言葉が生まれたのだろう。 英名:Praying Mantis |
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勝和餅二川銘菓蚕様 | 歌川広重の東海道五十三次 、三十三番目の宿は二川宿。 二川の浮世絵には「名物かしわ餅」の看板がある。 秀吉が聞き間違えて勝和餅に。 二川は蚕で栄えたため様がつく。 |
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空を背に蜘蛛の巣にいる手品師や | 逆光で蜘蛛の巣を見ると糸が見えない時がある。 蜘蛛だけがみえるその光景は 手品師が空中浮揚のマジックをしているようだ。 二本ずつ足を対にしてたたたずむ蜘蛛が人に見える。 |
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アメンボと水底歩く肉球や | アメンボが陽の光を浴びてすいすいと泳いでいる。 水底に写る陰が犬の肉球に見える。 つい微笑んでしまう。 英名:Water Strider |
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蚊の羽音チェーンソー音リンクする | 山奥深くチェーンソウで木を切る音がする。 遠くで聞いているとブーンという音が、 耳元に飛ぶ蚊の羽音に聞こえる。 私だけだろうか? |
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演技派かスグリゾウムシ死んだふり | 有機物と共に温室の中にスグリゾウムシを 持ち込んでしまうことがある。 手で捕殺しようとするところりと地面に落ちる。 ぴくりとも動かず死んだふりをする。 |
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キセルガイ環境浄化指標なり | 醗酵浄化栽培をすると土の中にキセルガイが増えてくる。 一種の指標となり得る存在である。 不思議なのはいったいどこからやってくるのだろう。 何万年も土の中で休眠することができるのだろうか。 |
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羽停めてアサギマダラの零飛行 | 何千キロもの旅をすると言われるアサギマダラ。 温室の中で出ることができずに旅をあきらめかけていた。 かわいそうになり旅の続きをさせて上げることに。 羽ばたきを停めて旅立つ姿は零戦に見えた。 |
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囀りにエダシャクの恋滲む空 | 珊瑚樹の花が隆盛を誇る頃、ウメエダシャクの交尾の季節となる。 鳥のさえずりも盛んな中、青い空にランデブーするウメエダシャクが染みる。 |
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道を行く蚯蚓脇へと晴れる我 | 天気もいいのにアスファルトの上を横切ろうとする蚯蚓がいる。 どう考えても途中で遭難しそう。畑に戻して、心晴れる。 |