「果樹園の虫たち」〜地域の自然を学ぼう〜

第15回「ヒメマルカツオブシムシ」

ヒメマルカツオブシムシ
ヒメマルカツオブシムシ
今回は皆さんにとてもなじみの深い虫を紹介したいと思います。なじみが深いと言ってもその正体は知らずに、この虫に痛い目にあった方はたくさんいるはずです。私もその一人。ウールの入っている洋服に穴を開ける犯人が、実はヒメマルカツオブシムシの幼虫なのです。画像は花水木の花の花粉を求めてやってきた、ヒメマルカツオブシムシの成虫です。

この時季に窓を開けておいたり、洗濯物についてきたりして、家の中に進入して洋服に卵を産み付けます。対処法は防虫剤を洋服ダンスに入れるのが一般的ですが、オーガニックな皆さんはラベンダー、ミント、レモングラスなどの香り豊かなハーブを陰干しして布袋に入れたものを、代わりに使うとよいでしょう。ハーブを防虫剤の代替え技術としていくことも、昔ながらの農薬を使わない知恵のひとつではないでしょうか。

またヒメマルカツオブシムシの幼虫は昆虫や動物の標本を食べるのでも、マニアを困らせています。せっかく苦労して集めた標本があるとき羽を残してなくなっていたり。そんな悪役を演じるこの虫ですが、ひからびた動物のタンパク質のみを食べる性質を利用して、脊椎動物の骨格標本を作るのに利用されているのだとか。少し時間はかかると思いますが、環境に負荷をかけない方法ですね。

【お話し:河合浩樹さん(河合果樹園)】

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