化学肥料を使わない栽培って?
植物の生育に必要な肥料成分にはどんなものがあるのでしょうか?肥料の三要素という言葉を理科の時間に習ったことがあると思います。窒素(N)、燐酸(P)、カリ(K)がそれに当ります。その他に石灰(Ca)、苦土(Mg)、硫黄(Su)、微量要素(ミネラル)としてマンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、モリブデン(Mo)、ヨウ素(I)、コバルト(Co)などがあります。
化学肥料を使わない栽培というのは、すべての肥料成分を化学合成したものと天然成分でも化学的な処理をしたものを使わずに栽培することを言います。健全な土壌においては化学肥料は素晴らしい効果を上げてきましたが、近年の環境汚染の進んだ土壌においてはその効力がマイナスの方向に出ています。環境保全や栄養的見地から、技術的には難しいのですがこの栽培に切り替えることにしました。
ではどのような事が難しいのかと言うと、まず現在流通している肥料はほとんど化学肥料を含んでいるため、使える肥料の選択肢が少なくなることです。有機質肥料として販売されているほとんどの肥料には、硫酸カリという化学肥料が入っています。皆さんも園芸店やホームセンターで売っている肥料の保証成分を見て確かめてみてください。なぜ硫酸カリが含まれているのかというと、天然のカリ成分をたくさん含んだ有機質は価格の高い草木灰しかないためです。独自に各社の肥料を調べてみると、循環型農業や環境保全型農業が叫ばれている中でほんとうに有機100%の肥料が少ないのです。当然流通量が少ないということは、コスト的には厳しいのですが、私たちのグループでは長い目で見てチャレンジしていこうという事になりました。
栽培する上でも難しいことがあります。葉面散布(木の上から水に溶かした肥料をかけて葉から吸わせる技術)という技術がありますが、葉面散布用の肥料もほとんど化学肥料を含んだものばかりなのです。いろいろと試行錯誤した結果、サカナの溶解液(ちょっとくさいのがたまにキズ)で代用できることが解りました。それを散布することで今までになかったうまみを出すことに成功しました。また肥料が効き過ぎる事の無いように、ぼかし肥料(ちょっと高いのがたまにキズ)中心の施肥をしています。
100%有機質肥料を土に施すと、それを土の中のさまざまな菌が分解します。分解の副産物としての各種ビタミン、ミネラル、核酸、アミノ酸などが直接作物に吸収され、濃く、旨みのある健康に良い作物が出来上がります。化学肥料を長い間使っていると土の中の菌のバランスが崩れてしまうため、作物の栄養バランスも崩れてしまうのです。土の中は人間の腸の中に似ていると思いませんか?悪玉菌の勢力の勝っている腸の人より、善玉菌の勢力の勝っている腸の人のほうが、健康なのは一目瞭然だと思うのですが・・・・。
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